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日本歯科医学会について/ご挨拶

学会長ご挨拶 平成31年4・5月号

住友 雅人:写真画像

略語時代の「Society5.0」に生きる


GIO、SBOs、LS、EV、SDGs、IoT、AI、そしてSociety5.0。
 ここまできて頭が痛くなったり、いそいで調べものをなさる方には、これ以上読み進むのはお勧めいたしません。また古臭い略語に懐かしみを覚えた方にもお勧めしないことをあらかじめご理解いただいたうえでご一読ください。
 平成10年12月、歯科医師臨床研修の必修化に向けて、教育技法習得のためのワークショップが開催されました。歯科では初めての試みでした。雪で白く覆われた富士山を正面に臨む静岡県裾野市、頭の中まで凍るような寒さの中で始まったのは、アルファベットで構成された略語の羅列、GIO、SBOs、LS、EV、etc.、まさに未知との遭遇だったのです。それが教育技法における共通言語。実をいうと私をはじめとした主催者メンバーもにわか仕込みの知識で臨んだWS(ワークショップの意味!)でした。
 それから20年余の時が経ち、今年2月13日に「接続可能な社会構築を目指して国連が採択した国際目標」のもと、『第1回地方創生に向けたSDGsの推進~「SDGsモデル」の発信・展開~』が開催されました。詳細な内容は日経新聞朝刊の【全面広告】でも紹介されましたが、ここではSDGsの活字が小見出しだけでも14個も躍っています。記事を読めばSDGsがなにを意味しているかは分かるのですが、どこにもスペルアウトされていないのです。これはすでに国民に浸透し理解されている頭文字略語なのでしょうか?わからん私が遅れているのでしょうか? ※SDGs:Sustainable Development Goals (余計なことですが日本語ではエスディージーズといいます)
 もちろん昔から、業界だけで使われて、知っていることがステータスのようにあるいは仲間意識を喚起するような頭文字略語はありました。長い経験を積まれた読者諸兄なら、いくつかすぐに思い浮かぶのではないでしょうか。もちろん若い人たちも、長い言葉を略した頭文字言葉コミュニケーションが得意ですよね。しかし、もしいろいろな人に広く正しく知っていただきたいような場合には、略語を使って理解を求めるのは難しいのではないでしょうか?とくに外国語を略した頭文字略語を使う場合には、スペルアウトだけでなく日本語での説明も求められるでしょう。検索キーワードに同じ略語で数語がヒットするような手間を防止して効率を上げるためにもそのような配慮をしておくのがよいように思います。歯科界も他人事では済まされません。とはいえ、やはりいまごろそんなことに文句をつけるのはOoD(Out of Date;時代遅れ)ですか。
 さて、SDGsを話題にしたので、これにかかわる「Society5.0」について少し触れてみます。内閣府のホームページでは『サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発達と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)』と紹介されています。このIoT (Internet of Things;ありとあらゆるモノがインターネットに接続する世界;物と人または物がフツーに会話する社会;早く慣れなくちゃ)、AI (Artificial Intelligence;人工知能;未知の知性と遭遇できる社会;へぇ~そうなの!)は、人口減少を止めることができないわが国においては、インターネットの動的な活用、ロボットや自動操縦などの器械との共存で少子高齢化や過疎化に対応できるものとして期待されています。この社会の進展は新技術の開発にもつながるもので、「必要は発明の母」という古いことわざのとおり、どしどし解決していただけるのではないかと思います。
 そして2045年にはAIは人間の脳を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)に到達するといわれています。それはなぜか2045年問題と名付けられています。小説とか映画の世界ではすでにたくさん語られているので、問題とは何かはある程度、予測できます。でも「Society5.0」を推進することで問題が引き起こされるのは、本末転倒のような気がしますね。ヒトは不完全だが存在不可欠というわがままな主張をどのようにAIに伝えていくことができるのでしょう。まずわたしたちが、お互いの不完全さをいとおしむ社会を作り上げることから始めたいものです。「Society5.0」が成功裏に達成されることはみんなの願いだからこそです。
 日本歯科医学会では現在、2040年に向けたイノベーションロードマップを作成中ですが、27分科会から提出された156の項目を5つに分類した中に「Society5.0」を設けています。そこにはビッグデータや学習システムの項目も入っています。他の4つにも歯科界が「Society5.0」に向けてイノベーションしていく多くの項目が示されており、分けて考えるものでないという検討チームでの意見もあります。逆の見方をすればこの「Society5.0」には他の分類をも俯瞰した項目を示すのがよいかもしれません。
 さて2018年度で、これまで日本歯科医学会の重点研究委員会事業としてほぼ6年かけて行ってきた子どもの食を育む歯科からのアプローチについては終了し、今後の展開はこれにかかわる分科会事業として継続されていきます。2019年度からこの重点研究委員会では新規のメンバーによって、イノベーションロードマップを完成させ、その成果をさまざまな伝達方法を駆使し社会に発信してまいります。そして、2021年の日本歯科医学会学術大会の開催を契機にして、歯科界からのイノベーションが一段と加速することを目指します。
 時代の変化が激しくても、方向性を見極め、具現化できる日本歯科医学会でありたいと願っています。

2019年 4月 8日





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