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日本歯科医学会について/ご挨拶

学会長ご挨拶 9・10月号

住友 雅人:写真画像

 新体制がスタートし約3か月が経過しました。この間に評議員会、常任理事会、理事会、各種委員会、地区学術講演会の開催などが目白押しでした。また、各分科会の総会・学術大会が全国各地で行われており、役員との懇談会・懇親会、会員懇親会に伺いました。学術大会の講演などにも時間が許せば参加したいと申し出ていましたら、日本口腔インプラント学会から抄録と参加証が送られてきましたので、シンポジウム、専門医講習会などに顔を出しました。今回はこの3か月の出来事の中からFDI(世界歯科連盟)の年次大会と第43回日本口腔インプラント学会総会・学術大会の報告をさせていただきます。

1.FDI 2013 年次大会(イスタンブール)

 8月23日から9月1日の間、トルコのイスタンブールで開催されましたFDI(世界歯科連盟年次大会)に出席してきました。日本歯科医師会の代表団に学会と歯科医師連盟の代表者が同行した形での参加です。各国代表団との会合など、予定されていたものすべてに参加しました。

 イスタンブールは、空港からホテルまでの異常な交通渋滞を見て、到着後すぐにオリンピック開催には無理があるとの印象を持ちました。いろいろな面におけるインフラ整備の遅れを感じましたが、とりわけ移動手段の整備が遅れています。トルコ市民は愛国心が強く、活発で勢いがありますが、現体制に不満を持っている者も多くてまとまりがないと現地の方も話されていました。帰国前日に2時間ほど自由時間が取れましたので、ホテルから歩いて市内に出てみました。その日は「勝利の日」という国民の休日でした。過日、大きなデモがあったタクシム公園を通り抜けるとタクシム広場周辺にかけて多くの警官の姿がみられました。共和国記念碑の周りには、警官、楽隊員、兵士、ビルの上には銃を持った警備兵、式典の招待者と思しき人々が、フェンスの外側には多くの見物人が開始を待っていました。私もフェンスにへばりつき、カメラを構えていました。やがて、一般車両が封鎖された道路には、黒塗りの乗用車が列を成して到着し、政府要人と思しき面々が張り詰めた雰囲気の中で次々と下車し、式典は開始されました。ところがこれほど厳重な警戒の式典でしたが、終了と同時に出てきた首相と思われる人物は、周辺を多くの市民(野次馬の私もその一人でしたが)に取り囲まれながらマスコミの取材を受けていました。これまでの厳しい警備がウソのようで、国民性を垣間見た気分になりました。何事もなく彼らが立ち去った後、普段でもひどい交通渋滞は一段とすさまじく、歩行者には危険な状況となっていました。

 FDIの会議ではFDIの政策声明を採決し、世界に発信しました。中でも非感染性疾患(NCD)のアジェンダに口腔保健が関わることの提唱、そして全身疾患のリスク要因としての口腔/歯周感染症・炎症における口腔保健の役割の重要性が注目されます。そして今回の大きなテーマは、10月7から11日まで熊本市および水俣市で開催されます水銀に関する水俣条約についてでした。歯科の分野でも銀合金をアマルガム化(固める)するときに毒性の低い無機水銀を使用しますが、アマルガム反応が終われば問題のないこの技術も水銀問題のテーマとなっていました。FDIの結論は、世界からこの歯科アマルガム充填法を抹消するのではなく、自然消滅という形でのコンセンサスを得ました。わが国では光重合レジンなど高品質の代替材料の登場で、すでに使用件数が減っており、1社ある製造メーカーも消費量の点から製造中止を検討していると仄聞しています。歯科医療においては大きな問題はないといえますが、学会としてはこの歯科アマルガム充填法における不安を一層払拭する目的で、関係学会から患者さん向けに、Q&A形式での説明文を求めることにしています。

 今回のFDIの招待講演では日本歯科医師会会長の大久保満男先生の「Dentistry in an Aged Society」が大きな反響を呼んでいましたが、この詳細については日本歯科医師会のニュースをご覧下さい。

2.第43回日本口腔インプラント学会学術大会

 9月13日から14日に第43回日本口腔インプラント学会学術大会(古谷野 潔大会長 於:福岡)に出席しました。この学会は会員数13,000名余で専門分科会中、最大規模です。参加者数は4,150名余とのことで、この数を受け入れられる会議場は国内でもそれほど多くなく、これからは開催地も限定されるのではないかと思われます。わが国では、歯科インプラントは古くから行われていましたが、30年ほど前に骨結合型インプラント(オスセオインテグレーティド・インプラント)が登場してから大きく変わったといえます。それ以前からこの分野に関わってこられた方とオスセオインテグレーティド・インプラントから関わり始めた方との2世代が混在しているのです。もちろん、みなさん、新しい理論・技術に取り組んでいますが、今回の出席で強く印象に残ったのは、30年前を知る方々が若い先生方と同じ土俵で頑張っていることの凄さです。とにかく熱い盛り上がりでした。この分科会の今後の展開に注目してまいります。

 14日夜に開催された会員懇親会では、次のような挨拶をしてまいりました。「いま日本にはおよそ8,000万台の車と8,150万人の自動車運転免許の所有者がいます。人類は127年前に馬車や牛車から自動車への変革を進めました。現在の自動車の完成度は実に素晴らしい。人々は自動車教習所でシステム的なトレーニングを受け、免許を取り、しっかりとした交通法のもとにそれを活用している。動かす方式は変わっても、もう自動車のない生活は考えられないのではないでしょうか。それでも人々は自動車は危険と言います。確かに40年間で4分の1に減ったとはいえ昨年は4,411人の方が交通事故で亡くなっている。そこでさまざまな観点から自動車を見つめ、より安全・安心して使える社会をみんなで作っていく努力が懸命に行われているのです。

 これを口腔インプラントに置き換えてみれば、われわれの進む方向が見えてきます。人々は口腔インプラントという素晴らしい治療手段を得たのです。これを否定的にとらえるのではなく、これを大いに活用すべきであります。そのためには少なくともシステマチックなトレーニングとルールの順守は必須です。専門分科会として、安全・安心を求めるステップを基盤とし、今回の大会テーマのように、より適切で確実なインプラント治療という、一段と高いレベルを求める段階に入ってきたようでありますので、ひきつづき、体制構築の地道な努力を期待しています。」

2013年9月30日

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2013年7月1日

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