日本歯科医学会について/ご挨拶
学会長ご挨拶 2・3月号

新年の挨拶から早や節分も過ぎ、暦のうえでは春を迎えています。1月「行く」、2月「逃げる」、3月「去る」と、この時期の日々の動きは誠に早いものです。
さて、平成25年12月4日付けで「和食:日本人の伝統的な食文化」が、ユネスコ無形文化遺産に登録されたことをご存知でしょうか。私たちの豊かな食文化に欠かせない体の感覚機能としては、味覚、視覚、嗅覚のほか、触覚も重要なかかわりを持っています。口腔という器官でコリコリとかシャリシャリなどと咀嚼する過程で、味覚や嗅覚は一段とその機能を働かせます。
医科の「生命の医療」に対して歯科は「生活の医療」といわれますが、このように、生活に密着した食文化をささえる医療だといえるでしょう。すなわち、生きるために餌を摂るという行為に、食べる喜びや楽しみを付加して文化とすることに大きく関わっているのです。
食べることを「口から入る文化」とすれば「口から出る文化」もあります。「口から出る文化」とは、言葉という音により形成される文化のことです。例えば歌であり、語りであり、講演や口演もあります。もちろん普段の会話もそうですね。言語コミュニケーションによる文化交流は、ヒト社会においてとても重要な意義を持っています。
会話しながら食事をすることはまさに、「口から入る文化」と「口から出る文化」のコラボレーションでありましょう。だとすれば、歯科は「口を介した文化」の維持や回復に携わるという重要な役割を担っていることになります。歯科医療の存在意義はここにあり、歯科医療従事者はその専門職なのです。このような歯科を、みんなで大切に育てようではありませんか。
学会の存在意義について、最近、以下のところで発表しています。機会があれば是非お目通し下さい。
1. | シリーズ 学会リーダーに訊く:長田電気工業株式会社「ZOOM UP No.138」 |
2. | 今月の論点:日本歯科評論2014年3月号(通刊第857号) |
3. | 歯科医療白書 2013年度版:日本歯科医師会 |
4. | 座談会「新しい8020推進財団と他団体との連携」:8020推進財団会誌「8020」 第13号 |
2014年2月10日