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日本歯科医学会について/ご挨拶

学会長ご挨拶 4・5月号

住友 雅人:写真画像

小児の食問題・食環境に歯科医がいかに係わるか

 平成25年度も終りに近づいた3月24日、学会に新設した重点研究委員会において、ワークショップが2名の外部メンバーを加えて開催されました。この重点研究は、今執行部の目玉といえる事業企画です。学会長から重点研究委員会に出した諮問の内容をご紹介します。
 「日本歯科医師会は8020運動を開始して以来、高齢者の口腔のケアに関して積極的な活動を行って効果を挙げている一方で、乳児・小児における摂食機能障害が大きな社会問題になっている。いわゆる障がいをもっている子供たちの摂食機能障害のみならず、今日の生活環境に起因しているといわれるが、健常児においても問題化してきている。しかしながら、その実態を示す明確なデータを本学会はもっていないために、本委員会において、集学的な研究成果から提示していただきたい。これは、公募型ではなく本執行部が主体性をもって行う研究であり、得られた成果を学会として社会に公表し、関連多職種との連携の下に歯科医学的見地から、摂食機能障害で困っている子供たちへのサポートを積極的に行おうとするものである。」
 平成24年10月に東小金井の駅前に開設された日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニックでは、障がい児の摂食相談はもちろんのこと、健常児の相談も受けています。どこに相談に行けばよいかが分からず、やっとここを辿り当てたという保護者が多くいるそうです。
 今回のワークショップのテーマは「小児の食問題に歯科医がいかに係わるか」であり、今回実施する実態調査のアンケートの内容についての討議がなされました。5月には、ここで討議されたプロダクトに基づいて作成されたアンケートが各方面に配付されることになっています。その集計結果が待たれるところであります。
 食育基本法が平成17年6月10日に成立(最終改正平成21年6月5日)しましたが、ありていに言えば、盛り上がりに欠けているようにも見えます。もっと社会的気運を高めてほしいという声も多く聞かれます。「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産保護条約「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表(代表一覧表)」に記載されて機運が高まっている今こそ、成立した法律を駆使し、広く展開、推進していく機会といえます。
 子供の摂食機能障害は、単に食べ物の好き嫌いとしてだけでとらえるのではなく、ときには隠れた病気としての障がいの存在が疑われたり、家庭や社会の環境に影響されて起きているとも考えられます。特に両親共働きで家庭団欒の時間がほとんどとれない子供たちには、食べる楽しみ、食べる喜びが欠けていることは容易に推測できます。子供任せの食事で、いつも同じものを食べていれば、食域が狭まり、変わったものを受け付けないことも起こりえます。今、駅ナカにコンビニ店が続々と開店しています。これは現代社会の必然性によることですが、新しい食環境の起点にもなる可能性を感じます。夫婦共稼ぎで日々の食事を家庭で作ることが難しければ、ここにある出来合いの食品をそろえて、家庭団欒を演出することも現代社会にあった生活手段だと思います。おせちをはじめ季節の行事に合せた食文化を、コンビニを基点にして推進することも新しい形として可能です。
 歯科はこれまで、食べるという口に入れる文化に携わってきましたが、コミュニケーションをはじめ、歌う、話すなど、口から出す文化にも大いに係わっていることを認識し、新しい社会への展開に関与していきます。

2014年4月7日

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