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日本歯科医学会について/ご挨拶

学会長ご挨拶 師走号

住友 雅人:写真画像

「よ坊さんも走る」

 さて師走といえば忘年会。飲んで、食べて、語り合い、おおいに楽しむシーズンです。食べること、話すことは人と人との交流の重要な因子です。「最もみじめな人間は忘れ去られた存在である」とは、たしかフランスの諺だったか?忘れ去られないためにも、積極的にコミュニケーションをとっていきましょう。というのは呑み助のいいわけか?
 歳を重ねると時間の経過が早い。それは部分部分の記憶が消えてしまったことの結果だそうです。とりわけ印象が薄いものはすぐに忘却の彼方に去ってしまうらしい。
 最近、私自身、食事の内容の記憶があやふやになってきているように思います。いいものを食べてないからだといわれそうですが、ちゃんと食べられるという行為に対する有難みが少ないからかもしれません。世の中には、口から食べ物を入れ(摂食という)、よく噛んで(咀嚼という)、食道に送り込む(嚥下という)機能がうまく働かない方や胃にチューブを入れて(胃瘻を含む)そこから液状の食べ物を入れている方がおられます。あきらめの気持の一方で、あの時あの人と食べたあの食事はおいしかったなぁという幸福な記憶が強くよみがえるのではないでしょうか。その幸福感を復活させてあげたいという医療が、すでに現実化してきています。口腔リハビリテーションという、摂食・嚥下・発音にかかわる機能の回復を図る医療分野です。医科の専門分野、歯科の専門分野などと境界を引く話ではありません。この分野こそ、医科歯科連携そして多職種との連携が求められます。
 社会では口腔のケアの重要性についての話題が急速に高まっていて、マスコミが全身疾患と歯科疾患の関係を頻繁に取り上げています。すばらしい傾向ですが、しかし、たとえば歯ブラシと歯磨剤で歯周病が治ったり進行が止まったりすると宣伝しても、「まずは歯科医院に行こう」とは紹介してくれません。日本歯科医師会発行の冊子には「歯医者さんと歯周予防を実践しましょう」とか「歯科医院で歯周病のチェックを受けましょう」と書き込まれた広告があるのに、同じデザインの車内広告にはその部分が除かれています。「まずは歯科医院に行こう」ということを、広く一般社会に伝えることによってはじめて本当の成果が出てくるものです。歯科界と産業界との連携によって、人々の食べる喜び、しゃべる楽しみがいつまでも続くよう、支援していくことを望んでいます。
 さて、わが家の坪庭、実際は畳1枚ほどなので半坪庭ともいうべき空間が、冬のしつらえとなりました。樹下一面に敷いてある苔を寒さから守るために、「敷き松葉」を施しました。スポットライトの光に、枯葉をとどめる枝が静かに浮かび上がる、小さな冬景色です。この辺り、今年のはじめには雪が40㎝も積もりました。十分な備えが必要です。みなさまにおかれましても、寒さに向かうこの時期を元気で暮らす準備期間と捉え、怠りなく取り組んでください。まずは食べることは命です。暮れから新年に向けての食べる幸せをみなさまとともに!
 
 

2014年12月12日

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