日本歯科医学会について/ご挨拶
学会長ご挨拶 師走号

師走事始め
ときの経つのが早く感じるようになるのは歳をとった証拠だそうです。
時の経過はすべてのものに同じですが、脳細胞の老化によって、記憶がアチラコチラ失われるために、記憶しているところをつなぐ時間の経過は短く近道を通るようになる、すなわち時のたつのを早く感じるそうです。
私自身、日々の決まったルーティンワークを行うときに、もう半日も経ってしまったかと思うことがよくあります。その感覚は頭の中の作業でなく行動に伴って起こるのです。そのような日々の連続で、1年の経過は超快速です。
いよいよ師走となりました。師走で何が忙しいかといえば、各方面から依頼がくる年頭挨拶の原稿作成や年賀状や海外へのクリスマスカードの発送です。忘年会というお付き合いも時間にすれば大変なものです。新年に関する作業をやめれば少しは時間的な余裕ができるのですがそうはいきません。わが国には12月13日を事始めとするという習わしがあります。お世話になった方に、1年間のお礼と新しい年も引き続きよろしくお願いしますとご挨拶する日だそうです。そしてこの日から正月を迎える準備に入るということのようですね。師走には、いつもと同じひと月という時間単位に、その年の締めと新しい年の準備という大切な行いが加わるのです。
さて、わが家の正月準備からみると、12月13日からということはずいぶん早くから取り掛かるのだという印象です。私は毎年、大掃除、買い出しなどは大晦日の直前です。小さな門松だけは一夜飾りと9のつく日はよくないといわれていますので30日の行事としています。いつもあわただしい年の瀬ですが、近くの寺から響いてくる除夜の鐘を聴きながら新しい気分に切り替わっています。
ここまでキーボードの打ち込み(昔は筆でした)を進めて、事始めの風習から師走の対応のヒントを得ました。それは大掃除、忘年会や年末のご挨拶は12月12日までとし、翌13日から年賀状の仕上げ、新年の対応に充てれば、気分的に余裕ができるのではないかと・・・
しかしこのように考えてはみたものの、いつのまにか日本にしっかり足を据えたクリスマスのことも頭をよぎります。落語にも出てくる借金取りは、12月12日では終わらず大晦日までやってきますが、いまでは「ネット」という網をかけて粛々と取り立てていきます。居留守や仮病といういいわけも見逃されず、これでは落語にもなりません。
なにはともあれ、師走はあわただしく、煩雑に過ごしがちなところ、早めの準備を心掛けてのんびりと暮らすところに日本文化の本質があったのかもしれません。しかし日本文化の老化だけはいけませんね。
私には短くも慌しい1年間でしたが、無事に過ごせたことに感謝しています。どなた様も体調には十分お気をつけください。それぞれによいお年を!
2015年12月03日