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日本歯科医学会について/ご挨拶

学会長ご挨拶 平成31年2・3月号

住友 雅人:写真画像

ほんに今夜は 節分か


「ほんに今夜は 節分か」。三人吉三巴白浪さんにんきちさともえのしらなみ「大川端庚申塚の場」で名台詞が交わされるまさにその日の朝、この原稿を書いています。「月もおぼろに白魚の、かがりも霞む春の空」は今のところまだ晴れわたり陽が輝いております。明日は立春。「こいつは春から縁起がいい」年になるでしょうか。そうそう、きのうは豆まき用の煎り豆を買いに行ってきました。なんといっても厄払いのつもり、「濡手で粟、思いがけなく手にる百両」に化けてくれないかなというわけではないけれど、毎年ささやかながら伝統行事に一家総出でいそしんできました。その中でも傑出した役どころはいつも犬のふうが請け負っておりました。「鬼は外!」と庭に向かって撒くと一目散に飛び出します。豆の入った福枡をみると年に一度の興奮が体中に湧き上がってくるようで、玄関やら窓やら開ける誰彼の後をついて、ダッシュの準備怠りなく控えていたものでした。まさに片足を挙げ片袖をまくって見えを切る白浪男でありました。その彼は昨年11月に虹の橋を渡りましたので、今夜は少し寂しい豆まきになりそうです。実をいうと家人が準備した豆も、彩りにぎやかな小袋入りが少しさみしい「福豆」であります。
 そういえば、年ごとに福豆の販売コーナーが小さくなっています。それに比べて恵方巻のコーナーはどんどん広がっています。今年はその人気にあやかって踊ってしまった販売側の行き過ぎが批判を受ける部分もありました。しかし日本の伝統行事の中で若者に一番よく認識されているのが節分というデータを見れば、恵方巻がたとえ京都辺りの花街から始まって海苔メーカーの販促ベースに乗った新しい伝統行事としても、歓迎されてしかるべき習慣なのかと思います。近所からは「鬼は外」の声は聞こえてこず、新年の門松を立てるお宅も少なくなってきましたから。2月14日に向けたチョコレートコーナーも含めて、たとえ都会の一人暮らしの人でも、店先から季節の変化を感じるのは嬉しいものではないでしょうか。私としましては、目下のところ、毎年確実に一個増える豆をどうするかの問題を抱えていましたが、人生100年時代といわれていますので、100から自分の歳を引いた数とすることで解決することにいたしました。最後まで、ポリポリ気持ちよく食べて厄払いしながらあの世に行きたいものです。
 三人吉三で思い出しましたが、昨年10月に埼玉県歯科医師会の創立110周年記念にご招待を受けました。この式典のアトラクションが地元、小鹿野子ども歌舞伎で、演目は同じく「白浪」が登場する「白浪五人男」でした。子供たちによる「勢揃いの場」名乗りの連ねの台詞せりふ回しは拍手喝采でした。中でも声もしぐさもひときわさえている子どもを見つけました。この世界での将来性を感じたのです。このとき隣に座っていらした方もそのように感じ取っていたということを聞き、私はとても心強くうれしく思いました。というのも、そういう才能を感じ取る才能が、教育に携わる人間に求められると常々思っているからです。才能があるからといって必ずしもプロにはならないとしても、自分の得意とするところをほめてもらうと自信がわくものです。AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)という、ヒトの優れたところを見出してそれを伸ばすチャンスを与える教育技法につながるのですが、歯科医学教育においてもその方法は活かせます。歯科医師というプロフェッションと他に何かのプロであることへの推進です。子供のころから取り組んできたことを生かす人生です。高い評価が得られることに対する自信と、活動範囲、交友範囲の広がりが歯科医師としての幅を広げることにつながるということです。しかしそれには、本人も気づかない才能を見出して伸ばしていこうとアドバイスしたりチャンスを与えたりできる人材が不可欠です。このような教育技法を、まず教育する立場の方々に熟知していただくことが大切です。それもこれも含めて、今後、ダブルキャリアを増やすことが歯科界に活気をもたらし、国民に注目されることだと強く思っていますので、学会としてもダブルキャリアに関する情報収集を始めます。
 ちなみに節分は、2020年までは2月3日とのこと。その翌年は2月2日、そして第24回日本歯科医学会学術大会の開催年です。覚えておいてください。

2019年 2月 3日





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