日本歯科医学会について/ご挨拶
学会長ご挨拶 令和3年4月号

数字の美学
3から4への月の移りは、日本に住む者にとって終わりと始まりを示唆している。別れと出会いともいうべきか。数が一つ増える、断定的に示されるその正確な変化に、月という漢字が添うだけで、それはいくつもの感情をもたらす言葉となる。月は1から12まで巡り、そしてまた1にかえる。でもその1は過去の1ではなくて次の1なのだ。1から次の1までに人はどれだけのことを行い、知り、喜び、悲しむのか。0101で事象を計算しつくす頭脳は、いつになったら生命のこの無限大の変化に追いつけるのか。などといいつつ、私は今のところ、2と4にこだわっている。それは今年開催される第24回日本歯科医学会学術大会。テーマは「逆転の発想 歯科界2040年への挑戦」だ。9月にオンラインで開催されるこの大会が、これまでのリアル(現地開催)を超える賑わいとなり、2040に向けた大きなステップとなるよう心から願っている。
数字が美しいと思うのは理系発想かそれとも文系のそれかは分からないが、歯科大学・歯学部受験者数や歯科医師国家試験の合格率で見えてくるのは歯科界の状況だ。コロナウイルスの感染者数や飲食業者の倒産率、在宅勤務率などは、リアルタイムに動く社会を表現する。分析方法でいかようにも変わるとは思っていても、つい一喜一憂してしまう。数字は美しくも恐ろしいメドゥーサのようなものだろう。
数字の語呂合わせは楽しい。「8020」は歯科界の代表になっている。私が学会から提供されているガラケーの番号も末尾が「8020」で、最初のころは、資産運用とかマンション販売、中には飲食業と思しきところから頻繁に電話がかかってきた。確かに、末尾が「8020」であれば、その前の番号はランダムに入れても、つながる先は歯科医療関係者の確率が高いからだろう。車のナンバーが希望番号制度になってからは、ナンバープレートに「8020」とあれば持ち主は歯科医療関係者かなと想像できる。このところ「8028」に出会うことも多い。歯科医療関係者には「はは~ん」である。「8032」「8000」というのに出くわすと、どんな分野の専門だろうと頭をひねって、なんとなく分かった感じになるものだ。
「1122」(イイフーフ)「1188」(イイパパ)などはほのぼのとした気持ちになる。車のメーカー名の「32」というのも数多く見かける。「39」「「999」(サンキュー)は追い越したときのお礼を意味しているのかな。「9999」というのは車では何か縁起でもないようでも、結構走っている。アマチュア無線を趣味としている私には「CQ(各局呼び出し)の符号が頭に浮かぶ。ちなみにアマチュア無線家が好んで選ぶのは「7388」だ。「73」「88」ともに「さようなら」の意味だ。彼らは後ろのナンバープレートで挨拶しながらの追い越し運転を得意とする。知り合いに、誕生日は何月何日ですね?といって驚かれたこともある。暗証番号に誕生日を使用するのは危険だとされているが、車のナンバーは別なのだろう。
さてわが家の車の番号は以前は「4321」、二代前は「1234」だった。単に覚えやすかったからで、昔は駐車場に止めるときにナンバーを申告することが多かったからと記憶している。しかし私も運転免許証を返上してもおかしくない年齢になった。長らく愛用した車には、最近はやりの安全運転システムが組み込まれていないこともあって、ついに手放すことにした。それでも家内は、まだまだ日常の足として車が必要だということで、自分で気に入った車を購入したが、希望番号は「7810」だった。どうにも意味のない数字の組み合わせに思えて、なぜわざわざそれを希望したのかがさっぱりわからなかった。根負けしてやっと教えてもらったその意味を5月号で紹介したい(ヒントは車種)。
そうだ!そういえば「2040」にしてくれればよかったのに!
令和 3年 3月31日
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